管理費が切迫したら 最初に見るべき数字はこれです
マンションの管理費が足りなくなりそう——。 理事会でそんな話題が出ると、急に不安が広がりますよね。
「どこから見直せばいいのか分からない」 「値上げの話をするのは気が重い」
そんなときこそ、焦らず “見るべき数字” を順番に確認すること が大切です。
管理費会計の改善は、 ①支出 → ②収入(滞納) の順でチェックすると、問題の本質がとても分かりやすくなります。考え方はとてもシンプルです。収入以上に使わなければ良いのです。
【STEP1】まず最初に確認すべきは「支出」です
管理費が不足しているとき、最初に見るべきは 年間の支出構造 です。 細かい項目から削るのではなく、金額の大きい支出から順に見直す のがポイントです。
■ 管理委託料 の内容を確認する
管理費の中で最も大きな割合(約60%から80%)を占めるのが管理会社への委託料です。
- 外注業者の業務とダブっていないか
- 実施回数が過剰ではないか
- 他社と比べて相場から大きく外れていないか
業務内容の調整だけで、年間数十万円改善するケースもあります。管理会社と管理組合が取り交わしている「管理委託契約書」を見てみるとその多くは管理業務の一定の部分を外注化(再委託)しているのがわかります。委託された全てを管理会社が行っているわけではなく、管理会社がさらに別会社に委託して管理業務を行っているということです。この再委託が作業の重複を生む原因の一つと考えられます。例えば、建物設備の定期点検を年間4回以上行っている会社と清掃管理を委託している別会社が再委託先としてあるとします。その定期点検が単なる目視だった場合、清掃管理を委託している清掃員が気が付くこととどのくらい違いがあるものか検討してみるのも意味があると思います。
■ 定期点検の回数 を見直す
点検は必要ですが、頻度が多すぎるとコストが膨らみます。
- 給排水設備点検
- 消防設備点検(法定以外の任意点検)
- 植栽管理
- 清掃業務
これらは回数調整で負担を軽減できることがあります。
■ 電気料金 の削減を検討する
電気代は削減効果が出やすい項目です。
- LED化の有無
- 契約アンペアの適正化
- 点灯時間の見直し
LED化だけで10〜30%下がることもあります。また、見落としがちですが、点灯時間も検討してみて下さい。年間を通して毎月の電気代が変わらない場合、「真昼でも共用部分の電気がつきっぱなしになっている、夏も冬も点灯時間が同じになっている。」このような状態になっていることがあります。住民目線で観察したり、タイマー調整を変更したりするだけで電気代の削減につながることもあります。自分事として観察してみれば「どうして昼間に電気つけっぱなしなのかな?明るくてついていることさえ気が付かなかった」ということも珍しくありません。契約アンペアの見直しは、機械式駐車場を平面化した時などに検討すると大幅な効果が期待できます。
■ 保険料 の掛けすぎに注意
マンション保険は“過剰加入”が多い項目です。
- 補償範囲が広すぎる
- 免責が低すぎて保険料が高い
- 一括払いで収支を圧迫している
3〜5年ごとに見直すだけで大きく変わります。
■ リース料(防犯カメラなど) を確認
リースは便利ですが、総額が割高になりがちです。
- 5年・7年リースの総額が妥当か
- 買い取りの方が安くないか
- 自動延長されていないか
支出の大きい項目から順に見直すことで、 管理費不足の多くは改善できる可能性があります。
【STEP2】次に確認すべきは「収入(滞納)」です
支出を見直したら、次は 収入が本来どれだけ入るべきだったか を確認します。 ここで重要なのが 滞納金の状況 です。
滞納は“静かに進行する収入減”であり、 気づかないうちに管理費会計を圧迫していることがあります。
■ 滞納金の総額 を把握する
まずは現在の滞納金がいくらあるのかを確認します。
- 滞納総額
- 何ヶ月分の管理費に相当するか
- 滞納者数(短期・長期の内訳)
これだけで、管理費不足の原因が「支出」なのか「収入」なのかが見えてきます。
■ 年間収入に対する滞納比率 を計算する
国土交通省の調査では、 滞納率 5% を超えると管理運営に支障が出る可能性が高い とされています。
- 1〜3%:一般的
- 3〜5%:注意
- 5%以上:危険水域
例:年間管理費収入 1,000万円 滞納金 50万円 → 滞納率 5%(危険ライン)
■ 管理費不足額との関係 を比較する
滞納金が赤字額を上回る場合、 赤字の主因は滞納による収入減 である可能性が高いです。
逆に、滞納金が少額で赤字が大きい場合は、 支出構造の見直しが本丸 になります。
■ 長期滞納者の存在は収入リスクを高める
長期滞納(6ヶ月以上)があると、 回収に時間がかかり、キャッシュフローが不安定になります。また、滞納者が常に一定数いる管理組合の場合は、管理費の値上げには注意が必要です。管理費が不足しているから管理費収入を増やす為に値上げをしたはずなのに滞納額が逆に増え管理費収入が減る可能性もあるからです。
滞納対応の詳細は別記事でまとめる予定です。
< まとめ>
管理費が不足しているときは、 支出と収入(滞納)を順番に確認すること が大切です。
- まずは 年間収支のバランス を見る
- 次に 支出の大きい項目から順に見直す
- 管理委託料・点検・電気・保険・リースは改善余地が大きい
- 管理費不足の原因は「支出」だけでなく 滞納による収入減 も大きい
- 滞納率 5% は危険ライン
収入の範囲内で支出を考える。これを実行するだけで赤字を止めることができます。収入を増やす為には、かなりの時間を要しますが、支出を減らす方策には、即効性のあるものがあるのです。 「どこから改善すべきか」が自然と見えてきます。
