マンションを巡る現状と3つの課題|710万戸時代の管理リスク
マンションストックが710万戸を超え、国民の1割以上がマンションで暮らす時代になりました。 一方で、建物の老朽化や区分所有者の高齢化、修繕積立金不足など、管理組合の運営に直結する課題は年々深刻化しています。
この記事では、国土交通省の最新データや研修内容を踏まえながら、マンション管理の現場が直面する「3つの課題」 を整理します。 マンション管理士や管理組合理事長の皆さまが、今後の管理方針を検討する際の参考になれば幸いです。
1 分譲マンションストック数の推移(現状)
国土交通省の統計によると、2024年末時点でマンションストック数は約710万戸 に達しています。 これは日本の住宅全体の中でも大きな割合を占め、国民の1割以上がマンションで生活している と推計されています。
マンションが「都市居住の基盤」として定着した一方、ストックの高経年化が急速に進んでいることが、後述する課題の背景にあります。
出典👇国土交通省(2024年末時点)分譲マンションストック数の推移
2 マンションを巡る「2つの老い」(課題)
① 建物の老朽化 × ② 区分所有者の高齢化
マンション管理の現場では、建物の老朽化 と 区分所有者の高齢化 という「2つの老い」が同時進行しています。
これにより、以下のようなリスクが顕在化しています。
- 外壁タイルの剥落事故
- 給排水設備の故障・漏水 👉排水管清掃はなぜ必要?
- 管理組合役員の担い手不足
- 総会の成立困難・意思決定の停滞
出典👇国土交通省 マンション関係法改正の概要(令和7年9月)
👉マンション管理士に相談すべきタイミングとは?住民として感じたこと
3 修繕積立金の積立状況(課題)
60%のマンションで「不足または不明」
令和5年度マンション総合調査によると、 25年以上の長期修繕計画に基づき積立金を設定しているマンションは約80%弱。
そのうち:
- 40%:積立金は不足していないと回答
- 40%:積立金が不足していると回答 👉修繕積立金が足りないと言われた・・・
つまり、全体の約60%が「不足している」または「状況不明」 という結果になります。
これは、
- 長期修繕計画の精度不足
- 適正水準の理解不足
- 住民合意形成の難しさ
といった構造的課題を示しています。
4 高経年マンションにおける修繕不足(課題)
築40年以上の高経年マンションでは、以下のような建物・設備の老朽化により生命・身体・財産に影響を及ぼす問題を抱えるものが多いことがわります。
管理組合の意思決定が遅れるほど、修繕費用は増大し、事故リスクも高まります。
参考:令和5年マンション総合調査
- 給排水管の老朽化による漏水 39%
- 漏水、雨漏り 27%
- 外壁等の剥落 19%
<まとめ>
710万戸時代のマンション管理に求められる視点
マンションストックが増え続ける一方で、
- 建物の老朽化
- 区分所有者の高齢化
- 修繕積立金不足
- 高経年マンションの深刻な劣化
といった課題は、今後ますます顕在化していきます。
一つの建物を多数の者が区分して所有するマンションは、合意形成をとることが難しく、集会や規約、細則による決定や計画修繕には様々な法的、技術的知識が必要になる為、管理組合・管理会社・専門家が連携して、 「予防保全」「適正な積立」「合意形成の仕組みづくり」 を早期に進めることが不可欠です。
