マンション管理

修繕委員をやって分かった、住民が誤解しがちな3つのポイント

修繕委員として活動してみて感じたのは、 多くの住民が“修繕の本質”を誤解しているということでした。

マンションの修繕は専門性が高く、普段の生活では見えない部分が多いため、 誤解が生まれやすいのは当然です。 しかし、その誤解が積み重なると、修繕積立金不足・工事の遅れ・資産価値の低下につながります。

ここでは、修繕委員として実際に見てきた 「住民が誤解しがちな3つのポイント」を解説します。

1. 「経年劣化は外壁だけ」と思っている

(実は高額なのはEVと機械式駐車場)

住民の多くが誤解しているのが、 「大規模修繕=外壁や屋上防水の工事」というイメージです。

もちろん外壁や防水も重要ですが、 実際に修繕委員として資料を見て驚いたのは、 エレベーター(EV)機械式駐車場の更新費用が桁違いに高いということ。

  • エレベーター更新:1基あたり1,000万〜2,000万円
  • 機械式駐車場更新:1台あたり50万〜100万円(全体で数千万円規模)

これらは築20〜30年で必ず更新時期が来ます。 しかし、多くの住民はこの“避けられない経年劣化”を理解していません。

「今の修繕積立金で足りる」と思っているマンションほど、 実際には将来の更新費用が計画に織り込まれていないケースが多いのです。

2. 工事業者の提案を“そのまま信じてしまう”という誤解

修繕委員として最も難しいと感じたのが、 工事業者の提案書をどう読み解くかという点です。屋上防水、エレベーター更新、機械式駐車場の更新など、 大規模な工事では必ず相見積もりを取ります。すると、各社が驚くほど立派な提案書を出してきます。

  • 工法の違いによる費用差
  • 工期の違い
  • メリット・デメリット
  • 保証期間の違い

一見すると「この会社が一番良さそう」と思えるのですが、 忘れてはいけないのは、 提案書は“業者が取りたい工事”に誘導するために作られているということ。

立場を変えて別の目線で読むと、 メリットとデメリットが逆転することも珍しくありません。

さらに厄介なのは、 修繕委員の中にも“自分が選んだ案がそのまま決定される”と誤解してしまう人がいることです。

無関心な住民が多いマンションでは、 修繕委員会の提案がそのまま総会で可決されることも少なくありません。

だからこそ、 複数の視点で提案書を読み解く力が必要なのです。

3. 「管理会社が中立的に判断してくれる」という誤解

(実は、管理会社と管理組合は“利益相反の関係)

住民が最も誤解しているのが、 「管理会社は管理組合の味方」という認識です。

管理会社はプロですが、 その立場はあくまで“委託業務を受ける側”。 管理組合とは利益相反の関係にあります。

  • 管理会社は工事を受注したい
  • 管理組合は工事費を適正に抑えたい

この構図は避けられません。

修繕委員として感じたのは、 管理会社に任せきりだと、工事費が高止まりしやすいということ。

  • 相見積もりを取らない(またはグループ会社で取る)
  • 管理会社の“標準仕様”に偏る
  • 工事会社の選定が不透明
  • 管理会社の推薦業者が優先される(関連会社等)

こうした状況は、どのマンションでも起こり得ます。だからこそ、 修繕委員会が主体的に動き、管理会社の提案を鵜呑みにしない姿勢が必要なのです。

修繕委員になった人向けに役立つ情報

修繕委員として活動していると、 「もっと早く基礎知識を知っておけばよかった…」 と感じる場面が本当に多いです。

そんなときに役立ったのが、修繕や管理の基礎を体系的に学べる書籍でした。 特に次の2冊は、専門性がありながら読みやすく、 “修繕委員・理事として最低限知っておくべきこと”がしっかり身につきます。

修繕関連のおすすめ書籍(2冊)

『知らないと損をするマンション管理』 須藤桂一著/株式会社masterpeace

マンション管理にかかるお金を知る、管理組合と管理会社の関係、コストの見直し、管理組合の運営方法など 「修繕委員が最初に知るべきこと」が一冊で分かる実務書。

『マンション管理の基本と実務』 日本マンション管理士会連合会

管理組合運営・長期修繕計画・管理会社との付き合い方など、 “管理の全体像”を理解するのに最適。中古購入者にも役立つ内容。

また、修繕委員として現場を見ていると、 「防災」「設備トラブルへの備え」は、 住民の意識が低いまま放置されがちだと感じます。特に停電時や災害時は、エレベーター停止・給水停止など、 マンション特有のリスクが一気に表面化します。 そこで、最低限持っておくと安心な防災・設備アイテムを2つだけ紹介します。

防災・設備関連のおすすめアイテム(2つ)

ポータブル電源(例:EcoFlow RIVERシリーズ)

停電時にスマホ・PC・照明を確保できる“マンション向け防災の必需品”。 エレベータ  ー停止時の情報収集にも役立つ。

携帯トイレ(凝固剤タイプ)

断水時に最も困るのがトイレ。 マンションは戸建てより復旧が遅れることが多いため、 家族人数×数日分は備えておくと安心。

まとめ> 誤解を解くことが、マンションを守る第一歩

修繕委員として活動してみて分かったのは、 住民の誤解が積み重なると、マンションは確実に弱っていくということ。

  • EV・機械式駐車場の更新費用は“避けられない高額修繕
  • 工事業者の提案書は売りたい方向に誘導されている
  • 管理会社と管理組合は利益相反の関係にある

これらを正しく理解するだけで、 マンションの未来は大きく変わります。

修繕委員は、住民の誤解をほどき、 マンションを守るための“知識のハブ”のような存在です。 あなたのマンションでも、きっと同じ役割が求められています。